by Tomoyuki Kihara Sorry ! Japanese Only ! |
-------ジム・クウェスキン・ジャグ・バンドに参加するきっかけになったのは? Geoff: 参加したというよりも、一緒になって結成したといったほうが正確だ。63年頃クウェスキンが やってきた。ケンブリッジの"クラブ47"に集まってくる者が中心になったんだ。 -------ジャグは30年代から40年代黒人たちによって再発掘され、60年代初期に至ってジム・クウェスキン 、イーブン・ダズン・ジャグ・バンド等によって白人の間に広がった訳ですが、当時を考えるとフォーク・ クラブと公民権運動の背景があったと思うんだけれども、ブラック・ミュージックを再現するという気持ちの 中にそういった思想的な生地といったようなものがあったのですか。 Geoff: ボブ・ディランのような政治的ラディカリズムを私は持っていなかった。勿論ディランの 姿勢は支持出来るものだったが、それは後になって私の中で意識されたことだ。私は当時の状況を把握 してはいなかったんだ。実際私はジョンソンに投票するような人間だった。今ではマルコムXの偉大さ についても理解しているつもりなんだが。
-------ジム・クウェスキンもその中の一人だったメル・ライマン・ファミリーはジム・クウェスキンの
「AMERICA」(Reprise Records RS-6464)のライナー・ノーツによると、はっきりとアメリカン・レボリューション
を意味した内容の発言をしていますが、メル・ライマンの言ったニュー・ソウル、つまりアメリカン・レボリューション
の根底となるとライマンのいうハート・オヴ・アメリカの考えはどういったものだったんですか。 -------ボストンからウッドストックに移住した理由は? Geoff: エイモスやビル・マンディに連れられていったんだ。 -------あなたが行った時期のウッドストックは世間では音楽共同体という言い方をされていますが 、僕は多少それは過大評価であり快楽主義的な様相と言った気がするのですが、実際ミュージシャン 同士の間で思想的交流、音楽的な話し合いがあったのですか? Geoff: 私の行った時のウッドストックは、もうひどい状態だった。 守るべきもの、発展されるべきものも自覚されていなかった。風俗的退廃の時間だけが進行されている だけで音楽的な話し合いなど全くなかったよ。唯一ボビー・チャールズが来た時だけは活気があったが。 -------ジャグ・ミュージックに興味を持ち、又ブルースを唄うことを白人であるあなたはどう捉えている のですか?ブラック・ミュージックについては? Geoff: アメリカから生まれた唯一の音楽はジャズとブルースだ。それに目を向けなければならない のはミュージシャンとして当然だと思う。そこにはソウルの偉大な表現がある。 -------黒人にとってソウルの表現はアイデンテティの探求の表裏一体だと思います。 白人であるあなたがそれを表現できるでしょうか。 Geoff: たしかにブルースを白人が唄うとそこにはリクリエイトされたものしか出てこない。 だがリクリエイトされても、素晴らしい歌があったのだという事を多くの人に知ってもらえばいいんだ。 -------日本ではあなたはジャクソン・ブラウンやジョン・セバスシャンと同様のシンガー・ソングライター (ジェフ・マルダーはソングライターではないが)というレベルで評価されています。 シンガー・ソングライター・ファンがあなたの唄のプロパガンダによってブルースに真剣に目を向ける とは思いませんが、そのギャップをどう感じていますか。 Geoff: それはアメリカでも同じことだし、しょうがないことだと思っている。 -------あなたのステージを見て、あなたの演奏する姿勢がなぜあの「MOTION」(Reprise Records MS-2255) のような内容の劣るアルバムを出したのか納得がいきません。 プレステッジからのファースト・アルバムからジム・クウェスキン・ジャグ・バンドを経て ジェフ・アンド・マリア、ベター・ディズそしてリプリーズからのファースト・ソロ・アルバム 「Geoff Muldaur Is Having A Wonderful Time」(Reprise Records MS-2220) と、僕が見た2度にわたるステージはそれなりにあなたの根を持った志向性として理解できましたが、 「MOTION」との間にある大きな異質さ、断層をあなたはどう説明されますか。 Geoff: あのアルバムはレコード会社(リプリーズ)が私にやらせたものばかり、 タイトル曲以外は聴く来もしない。私はレコード会社のいいなりにコントロールされ、何が創られ、 どのような進行をしているかさっばり解らないうちに録音は終わっていった。 会社が私にジャンプ・スーツを着せてね。ひどいもんさ。 -------話はかわりますが、最近日本ではレオン・レッドボーンに関して賛否両論です。 あなたはレオン・レッドボーンについてどう思われますか。 Geoff: ある意味で私もレオン・レッドボーンと同じことをやっている。彼はジェリー・ロール・ モートンを再認識する点で重要なアーティストだ。ただ彼はトム・ウェイツと同様に声をつくっている。 -------たとえばスリーピー・ジョン・エステスやサン・ハウスのチューンを唄うときのあなたも リクリエイトという意味では、つくっているという考え方、或る点ではレオン・レッドボーンと 同様だと思いますが、その批判はあなた自身の問題ではないでしょうか。 Geoff: そうだね。ただブラック・ミュージックを取り上げ今の若い人たちの中の何人かに わかってもらえればいいんだ、僕はね。 「中略」 なにしろ古いものに目を向けることが大事だし、 何人かが本当のことを解ると思うよ。 -------古いものを見つめるということだけだと、そこから新しい自分の創造性を見つけだす手段とする こととは本質的に違うと思うのですが。 Geoff: ただオールドを求めることと、新しいものを創りだしていくことは勿論質が違うし 、違っていたほうがいい。でもそのどちらかでもいいじゃないだろうか。その内の何人かは リクリエイトするだろうし、何人かはイミテートするだけだてどね。コレクトするだけとかね。 ただリクリエイトする場合オリジナルよりも悪くなることの方が多いんだ。正確にイミテートしても そこには新しい要素が出来てしまう。どうしようもないことだがそれは既にニュー・ミュージック と呼べてしまうようなものなんだ。 後略」
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