Dan Pennが2000年に、自らのレーベル Dandy Recordsより、リリースした "Blue Night Lounget" が Demo Series 1、 2007年に制作された "Junkyard Junky" が、Demo Series 2、 2013年に制作された "I Need A Holiday"、Demo Series 3、 そして4年振りとなる2017年リリースの本作、"Something About The Night" が Demo Series 4 となります。

今回、ディスクユニオンが、どのレコード店よりもいち早くこのアルバムを入荷して4月18日より販売しています。 なんと、Dandy Recordsより直接入荷しているのでこの早さが実現したようです。

1. Something About The Night (by Dan Penn, Bobby Emmons)
 Dan Penn が、Bobby Emmons を自身のナッシュビルの Dandy Studio に召喚し、曲作りとデモ録音作成まで行った曲。まだ、誰にもカバーされていない曲。
Bobby Emmons はメンフィスの Chips Momanの所有する American Recording Studio のキーボード奏者。最近のDan Pennの作品における重要なソングライティング・パートナーであったCarson Whitsettや Bucky Lindseyが亡くなってしまった今、一番頼りにしている共作者。 最近のSpooner Oldham と廻るツアーも、Spoonerのスケジュールが合わないときにはBobby Emmonsを伴ってツアーを行っています。

2. My Heart's In Memphis (by Dan Penn, Bobby Emmons)
 Dan Penn が、2000年にプロデュースした Irma Thomas の "My Heart's In Memphis" というアルバムの為に Bobby Emmons を自身のナッシュビルの Dandy Studio に召喚し、曲作りとデモ録音まで行った曲。 Irma Thomas のバージョンに較べると、Bobby Emmons のキーボードによるチープなバックの演奏がいかにもデモという感じの曲です。本来管楽器が奏でるイントロや間奏のフレーズがキーボードではやはり限界があります。 Dan Pennのボーカルもファルセット気味で喉を振り絞って歌っているのが、聴いていてつらいです。

3. It's Your Dream (by Dan Penn, Spooner Oldham, Wayne Carson Thompson)
 Dan Pennと Spooner Oldham の二人がWayne Carson Thompson の自宅のスタジオを訪れて、三人で曲作りからデモ録音作成まで行った曲。 恐らく、Wayne Carson が自身のアルバムを計画して、そのためにDan Pennと Spooner Oldham を呼んだと推測されます。 Wayne Carson Thompson はDan Pennが1967年にプロデュースしたThe Box Tops の "The Letter" という曲の作詞作曲者で、全米1位を獲得し、彼のソングライターとしての地位を築き上げてくれたのは Dan Pennのおかげと言っても過言ではないでしょう。 Dan Pennと Wayne Carson Thompsonのコラボ作品としては1967年にJoe Simon に提供した "Nine Pounds of Steel" という曲がリズム・アンド・ブルース部門で全米19位のヒットとなっています。 他にもコラボ作品が数曲ありますが、ほとんどが未発表の状態です。Wayne Carson Thompsonが2002年に自費出版した"Writer" というアルバムの中に'65 Blue というコラボ曲があるので、その時に同時に作られた曲かもしれません。 Dan Penn, Spooner Oldham, Wayne Carson の三人でのコラボ曲はこの曲のみです。バックはWayne Carson のギターとベース、Spooner Oldhamのキーボードのみ。 Dan Penn のボーカルもちょっと昔の声のような気がします。尚、余談ですが、Wayne Carson Thompson は2015年7月20日に亡くなっています。

4. Mahogany Sunset (by Dan Penn, Bobby Emmons)
 Dan Penn が、Bobby Emmons を自身のナッシュビルの Dandy Studio に召喚し、曲作りとデモ録音作成まで行った曲。まだ、誰にもカバーされていない曲。 Bobby Emmons のキーボードによるワン・マン・バンドによるバックのみの、いかにもデモという曲。 チープなバックがやはり気になります。

5. Jewel Of My Heart (by Dan Penn, Spooner Oldham)
 Dan Penn の1994年のセカンド・アルバムDo Right Man のレコーディング・セッションで Muscle Shoals Sound Studio で録音されたにも関わらず、アルバムには未収録となってしまった曲です。 "Something About The Night" はデモ音源集ですが、この曲はバリバリのスタジオ録音で、やはり他の曲とサウンドのクオリティが圧倒的に違います。 この曲は、英国の "Bucketfull Of Brains"というマニアックな音楽雑誌の1998年4月の創刊50号を記念する付録CDにて初めて収録されました。 かなり入手困難な雑誌ですが、僕は、この雑誌のアート・エディター をやっていたジョー・プレセード氏のご厚意でやっと手に入れることが出来ました。 余談ですが、付録CDのクレジットではバック・シンガーがAva Aldridge だけでしたが、今回、他に、Cindy Richardson-Walker、Lenny LeBlanc、Buzz Cason、George Soule という錚々たるメンバーがバック・シンガーを務めていることが明らかになりました。

6. Angeles Along The Way (by Dan Penn, Carson Whitsett)
 Dan Penn がCarson Whitsett の自宅のスタジオに赴き、曲作りとデモ音源作成まで行った曲。最近のDan Pennの一番のソングライティング・パートナーだった Carson Whitsett は2007年5月8日に既に亡くなっているので、それ以前の作品という事になります。 バックはCarson Whitsett のキーボードによるワン・マン・バンドですが、Bobby Emmons に較べると遥かにクオリティが高いバックなので安心して聴くことができます。 Dan Penn のボーカルも枯れたいい味を出しています。

7. Let's Boogie Tonight (by Dan Penn, Bucky Lindsey, Jo-El Sonnier)
8. Time To Get Over You (by Dan Penn, Bucky Lindsey, Jo-El Sonnier)
 この2曲は、Dan Pennにとって初めてタッグを組んだJo-El Sonnier のルイジアナ州の自宅スタジオにてBucky Lindseyを含めた3人で、曲作りとデモ音源作成まで行った曲。 Jo-El Sonnier はルイジアナ生まれの有名なケイジャン・アコーディオンの名手にして歌手で数多くのアルバムをリリースしています。僕のホームページ関連で行くと、Amos Garrett と一緒にステージに立っています。 そして Hoy "Bucky" Lindsey はCarson Whitsett と共に最近のDan Pennの一番のソングライティング・パートナーだった人ですが、どうやら去年亡くなったようです。 元々、Bucky Lindsey が Jo-El Sonnier と親交が深く、一緒に曲を書いていました。 Dan PennプロデュースによるBucky Lindsey の2002年唯一のアルバム"Back Bay Blues" でもJo-El Sonnierとの共作曲が収録されていました。 Let's Boogie Tonight は いかにもケイジャンというような軽快な曲。Time To Get Over You は しっとりしたカントリー・ソウルという趣き、2曲とも、久々にDan Pennのボーカルが黒っぽいです。 今でも、こんな風に歌えるという事に感激です。名曲、このアルバムでの収穫と言っても過言ではないです。 2曲とも、Bucky Lindseyはベース、Jo-El Sonnierはアコーディオンを弾いています。

9. Ghost Of A Chance (by Dan Penn, Carson Whitsett)
 Dan Penn がCarson Whitsett の自宅のスタジオに赴き、曲作りとデモ音源作成まで行った曲。最近のDan Pennの一番のソングライティング・パートナーだった Carson Whitsett は2007年5月8日に既に亡くなっているので、それ以前の作品という事になります。 バックはCarson Whitsett のキーボードによるワン・マン・バンドですが、Bobby Emmons に較べると遥かにクオリティが高いバックなので安心して聴くことができます。 この曲は以前から BMIに著作権が登録されていたので、誰かによってカバーされているのかもしれませんが、今のところ、まだ確認できていません。

10. I Hate To See You Go (by Dan Penn, Carson Whitsett, Bucky Lindsey)
 Dan Penn がBucky Lindseyと共に、Carson Whitsett の自宅のスタジオに赴き、曲作りとデモ音源作りまで行った曲。 James And Bobby Purify の二代目Bobby Purifyこと本名Ben Moore は本名名義で2枚のアルバムをリリースした後、暫く、アルバムを出していませんでしたが、 2005年にBobby Purify名義で"Better To Have It" というアルバムをDan Pennプロデュースでリリースするにあたり、曲を依頼したようです。 ちなみに、このアルバムの収録曲は、Ben Mooreの自作曲が1曲以外のすべての作品はDan Penn, Carson Whitsett, Bucky Lindseyの三人で作られています。
 このアルバムの中では、Hate To See You Go というタイトルになっており、BMIへの著作権登録もこのタイトルで行われています。 バックはCarson Whitsett のキーボードによるワン・マン・バンドです。曲が唐突に終わっているのが、いかにもデモらしいです。

11. Whatever Gets You Through The Night (by Dan Penn, Carson Whitsett, Bucky Lindsey)
 Etta James の1990年の"Stickin' To My Guns"というアルバムの為に書かれた曲です。ちなみに、このアルバムはDan Pennのプロデュースではありません。 前の曲とソングライティング・チームは同じですが曲作りとデモ音源作りはDan Penn自身のナッシュビルの Dandy Studioで行われています。 バックはDan Pennのギター、Carson Whitsettのキーボード、Bucky Lindseyのベースです。Dan Penn のボーカルも力強くシャウト気味に歌っているのが黒っぽくて久々にこういう歌声を聞けてうれしくなりました。。

12. Headin' Home (by Dan Penn, Donnie Fritts, Gary Nicholson)
 Dan Penn がDonnie Frittsと共に有名なソングライターであるGary Nicholsonの自宅のスタジオで曲作りとデモ音源作りを行った曲。 この曲は以前から BMIに著作権が登録されていたので、誰かによってカバーされているのかもしれませんが、まだ確認できていません。 バックはGary Nicholsonのエレキ・ギターとDonnie Frittsのオルガン、Dan Pennのアコギのみです。 Dan Pennの朗々と歌い上げるボーカルが新鮮な感じを受けます。 Dan Penn, Donnie Fritts, Gary Nicholsonというソングライティング・チームで作られた曲は Memphis Women And Chicken が一番有名です。 Gary Nicholsonとの共作曲は10曲位ありますが、中には未発表状態の曲も数曲あります。

13. Nothing Can Keep You Here (by Dan Penn, Frank Cannon)
 Dan Penn がアラバマ州、ビーバートンの Frank Cannon の自宅のスタジオに赴き、曲作りとデモ音源作りまで行った曲。 Frank Cannon はDan Pennの最近のソングライティング・パートナー。 前作I Need A Holiday が初コラボで2曲、一緒に曲を書いていました。 Dan PennのアコギとFrank Cannonの弾くハモンドB-3オルガンだけのシンプルなバックで、アルバムの最後に相応しく、堂々としっとりと歌い上げています。

 最後に、アルバムのカバー写真はDan Pennが撮った写真のようですが、ブックレットの裏側のオールド・カーと一緒に写っている写真をカバーにした方が、良かったのでは・・・と思ったのは僕だけでしょうか。  


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