Bobby Charles: Deluxe Edition

ここからは聴いた後のコメントです。

まず、今回陽の目をみた、一枚目のアルバムのアウトテイク曲で You Were There というBMIのサイトで調べても、その存在がわかなかった曲。 シンプルで素晴らしい曲です。Ben Keithの弾くペダル・スティールが神がかっています。おそらくBen Keithのセッション・ワークの中でもピカイチではないでしょうか。 今まで発表されなかったのが不思議です。

さて、一番のこのアルバムでの目玉となる、Paul Rothchild プロデュースによる 1974年のBearsville Studio で録音された Disc Two 5曲目から17曲目までの 本当の未発表セカンド・アルバムについて感想を述べてみます。 一言でいうと、なぜこれがお蔵入りしてしまったのか。さっぱりわかりません。非常に曲もいいし、Bobby Charlesのボーカルもいいし、一番すごいのが、バック・ミュージシャン によるタイトなリズム・セクションです。一枚目のゆるーい感じのバックも捨てがたいのですが、今回は一枚目と真逆でかっちりしたリズム・セクションがぐいぐい引っ張っていく 感じです。Bobby Charlesの歌もバックの後押しがあってか、ノリノリで彼のアルバムの中で一番ロック寄りです。残念なことに、バック・ミュージシャンのクレジットは皆無です。 しかし、ハーモニカはPaul Butterfieldに間違いありません。ピアノはDr.John、リズム・セクションはThe Bandのメンバー。ドラムは Levon Helm、ベースは Rick Danko、 オルガンは Garth Hudsonであることは、The Bandのファンなら聴いたらわかります。 Richard Manuelの参加はちょっと怪しいのですが、彼らしいピアノが聴けるのが一曲あります。 Levon Helmとのツイン・ドラムも十分可能性があるので、ほぼ参加していると思われます。ギターはほとんど目立っていないので、Dr.Johnが弾いているのか、一年後の Muddy Watersのセッションを考慮すると Fred Carter Jr.というのも可能性十分です。あと、何曲かBetter Daysのメンバーもかかわっているかもしれません。

1970年の後半にアドバンス・カセットの存在が確認されている、例のBearsville未発表セカンドに比べて、遥かに完成度の高いアルバムなので、 もし、このアルバムが正式に発表されていたら、Bobby Charlesのその後の活動も大きく変わっていたのでは、ないでしょうか。

Bobby CharlesとAlbert Grossmanとの確執、そしてBearsvilleレコードとの契約を考えると、アルバムを最低でも二枚はリリースしないと、契約違反となるので、 この 1974年のレコーディングをお蔵入りにしたあと、何回かBearsvilleレコードのためにレコーディングをしているはずだと思います。 いつか、その全貌が明らかになる時は来るのでしょうか。2011年初秋。


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