Dan Pennが2000年に、自らのレーベル Dandy Recordsより、リリースした "Blue Night Lounget" が Demo Series 1、
2007年に制作された "Junkyard Junky" が、Demo Series 2、そして6年振りの本作、"I Need A Holiday" が Demo Series 3 となります。
1. I Need A Holiday
Dan Penn が、1991年に ギターと曲作りで参加した、Green On Red の Scapegoats というアルバムがある。そのGreen On Red のメンバーだったChuck Prophet がこの曲の共作者。
もともとは、確か Nick Low の為に書かれた曲だが
未だに陽の目を見ていない。
Scapegoats のアルバムで Where The Rooster Crows (Dan Penn, Spooner Oldham, Dan Stuart & Chuck Prophet)を共作。そして、Dan Penn が、2004年にプロデュースしたCountry Got Soul Vol.2 という企画物のCDの中でも、Heavy Dutyという曲を共作していた。
2. To Make A Love Story Short
Holmes Brothers というニューヨークのハーレムを拠点とした三人組グループが1993年に発表した"Soul Street"というアルバムの為に
Carson Whitsett & Jonnie Barnett と共作した曲。尚、このアルバムには "I Found A Winner"というSpooner Oldham と書いた曲もカバーされている。この2曲とも カバーしているのはHolmes Brothersだけだ。
3. Blue In The Heart
Dan Penn が、2000年にプロデュースした Irma Thomas の "My Heart's In Memphis" というアルバムの為に Carson Whitsett & Jonnie Barnett と共作した曲。
今回、セルフ・カバーとなる。この曲のレコーディングには Dan Penn のギターに、共作者の Carson Whitsett によるOne Man Band で行われている。実は、最近の曲作りの良きパートナーであった
彼は、"Junkyard Junky"のリリース前の2007年5月8日に亡くなっている。という事はこの曲はそれ以前のレコーディングという事になる。
どうやら、曲を作った時の本当のデモのようである。
5. Battlin' The Blues
Theryl "Houseman" de Clouetというアーティストが2001年1月に発表した The Houseman Cometh! というアルバムの為にCarson Whitsett & Hoy Lindseyという当時ほとんどの曲を一緒に書いていたチームで作った曲。
共作者の一人、Bucky Lindseyも2002年Dan Pennプロデュースによる唯一のアルバムBack Bay Bluesでセルフ・カバーしている。
Dan Pennのセルフ・カバー・バージョンはCarson Whitsettのキーボード、Bucky Lindseyのベース、Dan Penn自身のギターというドラム・レスの非常にシンプルな物。どうやら、曲を作った時の本当のデモのようである。
Theryl "Houseman" de Clouetバージョンはイントロのギターが鳴いたりホーン隊があおったりする、ブルース色濃厚なバージョン。Bucky LindseyバージョンはTheryl "Houseman" de Clouetバージョンからブルース・ギターを除いた感じ。
ちなみに、Bucky LindseyはソングライターのクレジットではHoy Lindsey名義を使用することがあるが同一人物だ。
7. Building Fires *Country & Soul Version
8. Building Fires R&B Version
さて、今回のアルバムの目玉といえるのが、この曲だ。ところで1973年 Bell Recordsから "Nobody's Fool" をリリースした後、Dan PennがBell Recordsからもう一枚アルバムをリリースする予定だった事は今では
周知のことだと思う。タイトルは "Emmet The Singing Ranger Live In The Woods" Jim Dickinson のプロデュースによる物だったが、Bell Records が Arista Records
に買収されたことにより、社長、Clive Davis の売れないアーティストは切り捨てるという徹底主義からお蔵入りになってしまった。
前作の、Junkyard Junky のアルバムでも、この"Emmet The Singing Ranger Live In The Woods" に収録されるはずだった Tiny Hinys and Hogs という曲を
新しく録音し直して収録していた。しかし今回全くの個人的な思い込みではあるのだが、Building Fires も実は"Emmet The Singing Ranger Live In The Woods"に収録される曲だったのではないかと推察する。
仮に、このアルバムに収録されていないとしても、間違いないのは、この曲が録音されたのは1973年以前だということだ。
Johnny Christopher (gtr) Charlie Freeman (gtr) Bobby Wood (p) James Hooker (kbd) Tommy Cogbill (b) Jerry Carrigan (ds) Lea Jane Berinati (back vo) Ed Kollis (engineer)
これが、この曲のバックミュージシャンのクレジットだが、ここで注目なのが Dexie Flyers のギタリスト Charlie Freeman が参加していること。
彼は1973年1月31日に亡くなっているので、レコーディングはそれ以前となるので、これらを総合的に判断すると時期的にも "Emmet The Singing Ranger Live In The Woods"
の制作時期なので、信憑性は高いのではないか。
しかし、なぜ一つの曲を、カントリーと R&B の二つのバージョンで録音したのか、真意は不明だ。
もし、この曲が"Emmet The Singing Ranger Live In The Woods" に収録されていたとしたら、A面の最後の曲がカントリー・ソウル・バージョン、そしてレコードをひっくり返してのB面 1曲目 が R&B Version
だったのではないかと妄想してます。これは アルバム Nobody's Fool の中で Prayer For Peace と If Love Was Money という二つの曲を曲間ゼロにして、まるで組曲のように収録していた事から
想像するものです。
後、クレジットされていないがR&Bバージョンの中でブルース・ハープ吹いているのはエンジニアーの Ed Kollisで間違いない。彼はプレスリーのメンフィス・アルバムでも演奏してるブルース・ハープの名手だ。
この曲のカバーもそれぞれ二タイプ存在する。
Flying Burrito Brothers が 1975年の Flying Again というアルバムでカバーしているが、こちらは 8. Building Fires R&B Version を元にしている。
Ry Cooderが音楽を担当した "The Border" のサントラ盤では、Brenda Patterson がボーカルでカバーしているが、こちらは 7. Building Fires のカントリー・ソウル・バージョンを元にしている。
Dan Pennのオリジナル・バージョンは二つのバージョン共、最高の仕上がりで、"Nobody's Fool"の頃のDan Pennが好きな人にはたまらないだろう。特にR&Bの方は、
Dan Pennの声が完全に"Nobody's Fool"の頃の、ブラック色濃厚の、喉を振り絞った色気むんむんのボーカルを堪能できる。
いつの日か、"Emmet The Singing Ranger Live In The Woods"の全貌が世に出る事を真に希望します。
10. Peace In Poretta
Dan Pennはセカンド・アルバム"Do Right Man"をリリースした1994年の7月に
イタリアのPorrettaという街で行われた"Porretta Soul Festival"に参加。
このコンサートで"Peace In Porretta"という曲を初披露した。
そして1995年イタリアで限定発売された"The Best Of Porretta Soul Festival 1994-1995"
というCDに"Peace In Porretta"のライブが収録されている。
ちなみに1999年の大阪公演でも"Peace In Porretta"は演奏された。
このアルバムのバージョンもライブ録音で場所は不明だが、気になるのはナッシュビルのDandy Studioでの録音だというクレジット。疑似ライブ?。
エコー感から本当のライブ録音だと思うのだが。Dan Penn自身のギターとBobby Emmonsのエレキ・ピアノ、それに誰だかわからないサックス。
"The Best Of Porretta Soul Festival 1994-1995" のバージョンはThe Memphis All Star によるバックでドラムも入っているので違う。
一時期、Spooner Oldham ではなく、Bobby Emmons と組んでツアーもしていたのでその時の録音ではないだろうか。
11. Make Somebody Happy This Christmas
Chips Moman の American Studio のスタジオ・ミュージシャン Bobby Emmons と Press Music のソングライター Johnny Christopher と1979年に共作した曲。
もともと、Dan Penn が1979年の12月に、クリスマス・カードとして、友人に送る為、ごく少数を自主制作したシングルのA面曲。
1995年に Jon Tiven 制作のクリスマスの企画物CD "Holiday Heroes" の為、Jon Tiven's Ego Trip のメンバーをバックに Dan Penn が再レコーディング。2001年にはEgo Trip のメンバーであるAllan Merrill が
同じリズム・トラックを使用して自身のアルバムA Merrilly Christmas に収録。
さて、今回のバージョンはなんと1979年の激レアなシングル・バージョンからリミックスして若干短く編集したバージョンが収録されている。
ちなみにバック・ミュージシャンは、Bobby Emmons がエレキ・ピアノ、Johnny Christopher がギター、Buzz Cason がベース、Jerry Carrigan がドラムとジングル・ベル、誰だかわかないLady Smith がバックの女性ボーカル。
余談だが、1979年のシングルと"Holiday Heroes"ではタイトルが Make Somebody Happy For Christmasとなっていたがこれは間違い。 BMI のサイトでもMake Somebody Happy This Christmas となっているので、これが正しいタイトルだ。
12. Don't Give Up On Me
Joe Henry プロデュースによるSolomon Burke の2002年の Don't Give Up On Me というアルバムで初カバーされた曲。Carson Whitsett & Bucky Lindsey との共作。
その時の著作権登録で実際に曲が作られたのが1998年だという記述がある。今回セルフ・カバーとなるがバックは Carson Whitsett のキーボードと Bucky Lindsey のベースのみなので、どうやら、曲を作った時の本当のデモのようである。
【最新情報】2013年9月1日から、オフィシャル・サイトで入手可能となりました。
資金決済は CDNow を通して行われますが、CDは Dandy Records P.O.Box 40891, Nashville, TN 37204-0891 U.S.A. より直接、送られてきます。
送られてきたパッケージの Date and sender's signature の欄にあるサインは 奥様 Linda Pennington の直筆でした。
* 当方が勝手に命名。