Tony Joe White 、もっと評価されるべき
by Hideki Watanabe ©2014


スワンプ・ロックというのは日本人が考えたロックのジャンルでダウン・トー・アース的なロックという意味で使われていると思うが、 アメリカ人にも通用するスワンプというイメージに一番近いのがTony Joe Whiteの音楽ではないかと考える。 今回Tony Joe Whiteのシングル盤のディスコ・グラフィーを作成してみて気が付いた事の一つは、アルバム未収録のシングルの多さだ。

2006年にライノ・ハンドメイドより、限定5000セットでリリースされた4枚組の"Swamp Music: The Complete Monument Recordings" によって、モニュメント時代の音源に関しては、アルバム未収録のシングル4枚7曲をはじめ 同時期の今まで未発表だった音源のほとんどが、陽の目を見る事ができたのは本当に素晴らしい事なのだが、それに比べてワーナー時代の音源が全くないがしろにされているのが全く納得いかない。


ワーナー時代のアルバム未収録のシングルについて詳しく説明していこう。

まず1971年7月リリースの7505。B面はワーナーの一枚目のアルバム収録曲だが、A面はLUSTFUL EARL AND THE MARRIED WOMAN、ライブの定番曲だがこのシングルがライブ・バージョンなのかスタジオ・バージョンなのか、このシングル所有していないので、よくわからない。 プロデューサーがTony Joeなのでライブ・バージョンの編集版のような気がする。

続いて、同じく1971年リリースの7523。A面はDELTA LOVE、B面はTHAT ON THE ROAD LOOK。THAT ON THE ROAD LOOKは2010年ライノからリリースされた71年のライブCDのタイトルになった曲だ。シングル版はスタジオ・バージョンでバックにBergen Whiteアレンジによるストリングスも ついている。プロデューサーはCombine Musicの Bob Beckham。そうTony Joeがナッシュビルに行って、最初に会った人物。モニュメントと契約するきっかけを作った人が初めて Tony Joe をプロデュース。 A面のDELTA LOVEは、これぞTony Joe Whiteというようなキラー曲。何故、今まで、埋もれているのかわからない。

そしてワーナーで三枚のアルバムをリリースし終わった後になる、1974年のシングルWB-7780。A面はSIGN OF THE LION。B面はLOVE 'TWEEN YOU AND ME。どちらもChips Momanの プロデュースなのだが、問題はB面のLOVE 'TWEEN YOU AND MEだ。1973年のアルバム Homemade Ice Cream に収録されているI WANT LOVE ('TWEEN YOU AND ME)と同じ曲だと思われるのだが 僕は両面SIGN OF THE LIONのプロモ盤しか所有していないので、確かめる事が出来ない。お分かりの方、いたら教えて欲しい。

Chips Momanをプロデューサーに迎えてシングル一枚だけ?、あえて過去のアルバム収録曲を再録音する?。実はアルバム一枚分録音してて、アルバムがリリース出来ないのでせめてのシングル・リリースのパターンか。

そして最後に、1974年10月リリースのWBS-8042。A面はDON'T LET THE DOOR (HIT YOU IN THE BUTT)。B面はWISHFUL THINKING。両サイド共、先程のBob Beckham とChip Youngの共同プロデュース。


こんなにも、お宝音源満載にもかかわらず、1993年リリースのワーナー・アーカイヴス・シリーズの The Best of Tony Joe Whie にはアルバム未収録シングル曲は一曲も収録されずワーナー・アーカイヴス・シリーズなのに 全20曲のうち8曲がモニュメント時代の曲という詐欺みたいなコンピレーションで手に入れる価値等なんにもない。

ワーナーより2枚組としてリリースする予定であった1971年ヨーロッパでのライブ・アルバムがライノより高音質にてめでたくCDとしてリリースされた事が、ワーナー時代の唯一の功績といってよいだろう。

是非、ワーナー時代の三枚のアルバムとアルバム未収録のシングル4枚及び未発表の音源の全てをライノ・ハンドメイドがボックス・セットとしてリリースしてもらいたい。

さらにソロ・デビュー前のTONY JOE AND THE MOJOS 時代の三枚のシングル、及び未発表音源もなんらかの形で発表して欲しいと節に願うものである。


追記

是非、このページを見ていただきたい。Tony Joe Whiteが自身歌手として、さらに作曲家として、プロデューサーとして1969年から1996年の長い期間に渡って、ヒット・チャートに曲を送り続けてきたか。 確かに1980年代以降はこんな曲も書くんだ? と思うような曲も少なくないが、モットTony Joe White というアーティストは世の中で評価されて良いのでは・・・ と思う次第である。




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