"Willis Alan Ramsey" 収録曲の解説
1. Ballad Of Spider John
Willis Alan Ramsey の弾くフィンガー・ピッキングのギターと渋いボーカルに途中からNick De Caro アレンジのストリングスとアコーディオンが被さってくる。
そこに 名ジャズプレーヤーErnest Watts のサックスも加わり 1曲目から スワンプ系のシンガー・ソングライターの名盤の予感を十分に感じさせる曲で好調なスタートを切る。
Jimmy Buffett が Living And Dying In 3/4 Time という彼の1974年のアルバムでカバーしている。
2. Muskrat Love (Muskrat Candlelight)
2曲目も同じ感じで来ると思いきや、軽快なギターのピッキングに Willis Alan Ramseyがオーバー・ダビングで被せる弾むようなベース に さらにLeon Russellのジャジーなヴァイヴ とエレクトリック・ピアノ
が加わり、そこにWillis Alan Ramseyの多重録音による高度でさわやかなコーラスが包み込んで、都会的なソフト・ロックの様そうを見せる。CSN&Y というよりは America っぽくて、とても1曲目と同じ作者の作品とは思えない。
ただ、リード・ボーカルはあくまで頑なに、渋いボーカルという違和感。ただ、これとても癖になる。唯一このアルバムからシングル・カットしていて、それもA面の扱いなのだ。
America が Muskrat Loveのタイトルで Hat Trick という1973年のアルバムでカバー。 US A/C チャートで #11 Pops チャートで #67。
Captain And Tennille が Muskrat Love のタイトルで Song Of Joy という1976年のアルバムでカバー。US A/Cチャートで #1 Pops チャートで#4。
こちらは、完全なポップスでレーベルもあって、まるでRoger Nicholsが作ったカーペンターズの曲のようだ。
Willis Alan Ramseyが作った曲でヒット・チャートにランク・インした唯一の曲。
ちなみに、この曲を一番最初にカバーしたのは Herb Alpert の奥さんである Lani Hall で 彼女の1972年の Sun Down Lady というアルバム の中で タイトルを Sun Down に替え Herb Alpert夫妻で詩を書きくわえて収録している。こちらは America のヒットを受けて 1974年にシングル・カットしたものの、ヒットしなかったけど、是非聴いてみて下さい。
3. Geraldine And The Honeybee
3曲目は1曲目と同じスワンプ系のシンガー・ソングライター作品。Willis Alan Ramsey の弾くフィンガー・ピッキングのギターにオーバー・ダビングで被せるベースとハーモニカとコーラス。
Widespread Panic というグループが Uber Cobra という2004年のアルバムでカバー。
4. Wishbone
無名スタジオ・ミュージシャンのピアノ、ドラム、エレキ・ギターのリズム・セクションにWillis Alan Ramsey はベースとコーラスで参加。
カントリー・ロックにデキシー・ランド・ジャズヲ足した、ちょっとハングリー・チャックを彷彿とさせるサウンドだ。
Widespread Panic というグループが Halloween 2014 Live At The 1st Bank Center という2014年のアルバムでカバー。
5. Satin Sheets
1曲目、3曲目と同じスワンプ系のシンガー・ソングライター作品。Willis Alan Ramsey の弾くフィンガー・ピッキングのギターとボーカルのみの曲。
Bellamy Brothers が 1976年にカバー。Waylon Jennings が翌1977年にカバー。Shawn Colvin が1994年にカバー。
その他カバーするアーティストが一番多い曲。
6. Goodbye Old Missoula
Leon Russellのピアノ、Jim Keltnerのドラム、Carl Radleのベースという最強リズム・セクションにRed Rhodesのペダル・スティール・ギターが加わり完全な
カントリー・ロックを展開している。Willis Alan Ramseyはギターの他ハーモニカもオーバー・ダビングで被せている。
Jimmie Dale Gilmore が2000年にカバー。
7. Painted Lady
ナッシュビルの一流スタジオ・ミュージシャンのピアノ、ドラム、ベース、フィドルに Eddie Hintonがギターで参加。
Willis Alan Ramseyの多重録音によるさコーラスも加わり西海岸のカントリー・ロックを展開。
Kip Attaway が1981年カバー。
8. Watermelon Man
1曲目、3曲目、5曲目と同じスワンプ系のシンガー・ソングライター作品。Willis Alan Ramsey の弾くフィンガー・ピッキングのギターとボーカルにスタジオ・ミュージシャンのスライド・ギターが
いい味付けをしている。
New Grass Revival が1977年にカバー。
9. Boy From Oklahoma
Willis Alan Ramsey の弾くフィンガー・ピッキングのギターと渋いボーカルに途中から
The Section のドラムとベースのリズム・セクションにRed Rhodesのペダル・スティール・ギターが加わり、西海岸ぽいカントリー・ロックを展開。
Kate Wolf が1996年にカバー。
10.Angel Eyes
1曲目、3曲目、5曲目、8曲目と同じスワンプ系のシンガー・ソングライター作品。
Willis Alan Ramsey の弾くフィンガー・ピッキングのギターと渋いボーカルに途中からチェロが加わり、サウンドに厚みを加える。
Gary P. Nunn が1992年にカバー。
11.Northeast Texas Women
この曲だけ、何とDan Penn が作ったメンフィスの スタジオ、Beautiful Sound Studio で録音されている。
多分 Willis Alan Ramseyの友人のミュージシャンを総動員してのバカ騒ぎが楽しいノリノリの曲。
David Bromberg Band が1978年にカバー。 Jerry Jeff Walker が翌1979年にカバー。
何と、アルバム全曲が他のアーティストにカバーされており、それも、錚々たるアーティストによって1970年代から2000年代にかけてカバーされているのが凄い。
Shelter というレーベルからこんな地味なアーティストの生涯たった一枚のアルバムがリリースされたというのは70年代の奇跡といっていい。
そして、何と、Willis Alan Ramsey は現在も現役で歌っているのだ。
Willis Alan Ramsey の ソング・リスト を分かる範囲で作ってみたので見て欲しい。このアルバムの11曲を含めて30曲余りしか作っていないが、どれも名曲ばかりだ。
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